技術紹介

シンプルステインマウス
MAX-PO(Rat)について

組織化学室では、パラフィン包埋切片の高感度検出用標識二次抗体として

の2種類を提供してきました。ところが最近、CD分類やサイトカイン関連をはじめとする各分野で、ラットクローン由来の一次抗体が市販品として出回るようになり、ラットIgG 一次抗体検出用にも、上記のような高感度検出用標識二次抗体を求める声が利用者から聞かれるようになってきました。導入を検討するに当たり、各社製品を検索しましたが、DAKOの「ENVISION+」シリーズには、ラットIgG 検出用のものは存在せず、今回新たに、ニチレイバイオサイエンスの「シンプルステインマウスMAX-PO(Rat)」という製品について検証する事となりました。

1.製品の特徴

本製品の特徴は、ENVISION+と同様、ポリマーに多数の酵素(HRP : ホースラディッシュペルオキシダーゼ)と二次抗体を標識することにより、 一次抗体へ、より効率的に多数のHRPを結合させ、高感度検出を可能にすることです。また、抗ラットIgG 抗体は、マウスIgGとも交差反応しやすく、マウス組織を用いた場合にバックグラウンド染色が出易くなるため問題になることがあります。本製品はマウスIgGとマウス血清タンパク質による吸収操作済みであるため、こうした問題を回避できます。

2.検出感度

2-1.染色方法

検証のための染色は、以下のような条件で行いました。

組織切片および抗体
組織切片:ホルマリン固定パラフィン包埋切片
動物種:マウス
組織:腸間膜リンパ節、脾臓、十二指腸、大腸、大脳、舌、心臓
一次抗体:抗マウスCD45(クローンNo.30-F11(Rat))(Biolegend, code:103101)
二次抗体:シンプルステインマウスMAX-PO(Rat)(from Goat)(ニチレイバイオサイエンス, code:414311)
対照 : HRP標識-抗Rat IgG(from Goat)(Jackson Immuno Research Laboratories, code:212-036-082)
染色手順
  1. 脱パラフィン
  2. 0.01M PBS洗浄, 5分
  3. 内在性ペルオキシダーゼ不活性化処理 0.3%過酸化水素水加メタノール, 10分
  4. 0.01M PBS洗浄, 5分x3回
  5. 正常ヤギ血清処理, 10分
  6. 一次抗体反応
    抗マウスCD45, 100倍希釈, 60分
    または
    0.01M PBS(陰性コントロール用), 60分
  7. 0.01M PBS洗浄, 5分x3回
  8. 正常ヤギ血清処理, 1~2分
  9. 二次抗体反応
    シンプルステインマウスMAX-PO(Rat), 30分
    または
    HRP標識-抗Rat IgG, 600倍希釈, 30分
  10. 0.01M PBS洗浄, 5分x3回
  11. DAB発色反応
    シンプルステインマウスMAX-PO(Rat)で反応したもの, 2分
    または
    HRP標識-抗Rat IgG 抗体で反応したもの, 10分
  12. 0.01M PBS洗浄, 5分
  13. イオン交換水洗浄, 3~4回
  14. メチルグリーン核染色, 10分
  15. 水洗
  16. 脱水・透徹・封入
(以上、全て室温にて処理)